子どもも大人も楽しめる手話絵本を作ったくりえもんさん

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今回は、個人で手話絵本を出版し、個展も開催したくりえもんさんという方へインタビューします。
このインタビューはHAPUNEスタッフのあやこさんがしてくれました。ありがとうございました。

子どもも大人も楽しめる手話絵本制作と個展開催までの道のり


くりえもんさんは、子どもも親も一緒に楽しめる手話絵本を作りたい、という想いで手話絵本を個人で作ったそうです。
そしてそれから個展を開催するまでに至ったとのこと、その経緯をたどってみました。

手話絵本を作ろうと思ったきっかけ

なんでしたかね・・・(笑)。
娘が「ろう」だったので、娘にとって分かりやすい絵本は何かな~と思いながら描いたのがきっかけだったと思います。

娘とは「手話」でコミュニケーションを取っていたので、絵本にも手話を取り入れてみようという遊び心からスタートしました。
自分が描いた絵本が、思いのほか娘に喜んでもらえたので、娘のお友だちにも試しに見せました。
そしたら子どもたちが手話に興味をもち、自分で手話っていたのです(笑)

中でも絵本を読んだコーダ(=耳が聞こえない親を持つ聴こえる子ども)が絵本で覚えた手話で、耳が聞こえない親とお話したというエピソードが一番、嬉しかったです。

これをきっかけに、耳が聞こえない子どもはもちろん、聞こえるこどもたちも一緒に楽しめる絵本を作ろうと思い、試行錯誤を繰り返しながら「しゅわろう絵本1~3」を完成させました。

手話絵本製作の過程

絵本製作は試行錯誤の日々でした。

まずは個展開催から

今まで個展を開いたことが無かったので、いつかはやってみたいなとは前々から考えていたんです。
「仕事復帰したら忙しくてできないのでは・・・個展を開くなら今がチャンスかも」と思い、思い切って個展を開きました。

この頃にはありがたいことに作品が欲しいと言ってくださった方々がいましたので、知人の紹介で印刷会社に依頼し、冊子を作ってもらうことにしました。

赤ちゃんでも馴染みやすい本にこだわった

赤ちゃん(0~1歳)でも読みやすいように、リングを付けること、安全面を考えて角に丸みを付ける、破れないようハードカバーで仕上げること等、とことんこだわったので、印刷会社からすれば大変だっただろうなと思います(笑)
何度も印刷会社と打ち合わせし、現在のような本が出来ました。

個展開催で他の手話絵本に触れることができた

娘の発育・理解状況に合わせて作ったので、自分の作品に関しては色々と調べたりはしなかったです。

個展で自分の作品以外の手話絵本を展示しようと決めた時に、日本・世界の手話絵本を集めてみました。
このタイミングで色々な手話絵本に触れることが出来ました。
様々な絵本表現があって、とても面白かったです。

また、自分の絵本作品に関しては、もっとこうすれば面白かったなと反省する部分もありましたので、今後の絵本制作活動にも活かしてみたいと思います。

手話もある絵本も大事

絵本に手話があると、手話を必要とする子どもたちのために、両親やお友だちが手話を覚えるきっかけとなるのではと思うんですね。

例えば、耳の聞こえる両親が聞こえない赤ちゃんを産みました。
どうやって絵本を読み聞かせたらいいんだろうと悩む時期が、絶対来ると思うんですね。
そのときに手話(イラスト)が入っている絵本を手に取って一緒に読んだら楽しいと思うんです。

また、聞こえない子が保育園に入ったときに、耳の聞こえるお友だちや保育士も手話絵本を読んで、手話を覚えてくれたら本人にとっても嬉しいと思うんです。
手話絵本を一つのコミュニケーションツールとして是非読んでほしいなと思いますね

一般的な絵本は手話で表すのが難しいこともあるけれど・・

絵本は様々な表現があり、それらも絵本の良さだと考えているので、足りないと感じたことはないですね。

ただ、この絵本は手話で表現するのは難しいなと感じるというのはありました。

だけど、それはそれで面白い!
この難しさがあるからこそ、どう伝えていくか考えていこうという気になります。

絵本に動画をつける試みもやった

手話を初めて見る人は、コンテンツによっては、手話のイラスト・静止画だけで理解するのはとても難しいかもと思ったんです。
そういった観点からも、「動画」を絵本の中に取り入れる工夫が面白いかも、と考えていました。

よくあるのは本に付いているDVDを取り出して視聴する方法なのですが、この一連の作業が一手間だと考えていたのです。
それで、DVD以外にも楽しむ方法はないか試行錯誤した結果、「QRコード」を導入することになりました。
スマートフォンやアイパットなどでQRコードを読み取り、YouTubeで子どもたちと一緒に動画を楽しむ手軽さをポイントにしてみました。

「しゅわろう2」と「しゅわろう3」の最後のページには「手話リズム(リズムに合わせて手話で歌う方法)」のQRコードが入っております。
2拍子のリズムで歌いながら手話表現しているので、誰にでも簡単に手話を覚えられると思います。

娘の育児との両立

1歳児(当時)の娘がいたので、朝早く起きて制作を進める毎日でした(笑)
こんな時に限って娘が夜泣き・早起きしたり…となかなか思う通りに進められず、大変でした。

協力的だった旦那さんにも感謝

私は一つ決めたらとことんやる性格ですので、それを理解してくださったのか、私が絵本制作に取り組んでいる間、娘を見てもらったりしていました。

私の作った作品を見ては、「あーだこーだ」と言ってくることもあったので、たまにイラっとしましたが(笑)
今となっては感謝しています。

大変だった動画制作

実は私は動画制作の知識はありませんでした。
そのため、動画制作に詳しい友だちにお願いしたのですが・・・動作制作が想像以上に難しく、ヒィヒィ言いながら、ほぼ徹夜で一緒に作業を進めました。
これも今となっては良い思い出です。

写真は、この時に協力して下さった友人たちです

仲間たちや家族のあたたかい気持ちが込められた動画

動画撮影のモデルは、佐沢さんの家族、中澤さん、野澤さんにお願いしました。
皆さん、快く引き受けてくれて嬉しかったです。

旦那は、「まずはやってみなよ」と背中を押してもらいました。
両親は、個展開始直前に初めて話したんですね。絵本制作に関してはあまり知らなかったみたいです(笑)
「そんなことやってたの」とかなり驚いていましたが、最後まで応援してくれました。

動画に込められた工夫

工夫というよりは、「子どもから見てこの表現は分かりやすいかどうか?」を重点的に出演者と何度も確認し合いながら進めました。

写真は動画の一部です

個展開催

こうやって色々と紆余曲折ありながらも、友人たちの協力や家族の理解のおかげで、5月13日(土)~27日(土)の約2週間、ギャラリーカフェバー(最寄駅:東京都北千住駅)にて開催することができました。

「ようやくここまでこれた!」という達成感と、「大丈夫かな?1人でもお客さんがきてくれたらうれしいなあ。」という不安が交錯してました(笑)。

皆からいただいた感想

ありがたいことに、個展を見に来てくださった方々から以下のような感想をいただきました。

====皆さんからの感想の一部====

暖かい雰囲気のお部屋とマッチしてて良かったです。
しゅわろう絵本の内容はとてもシンプルだけど、子供に見せるのに良いなと思いました。
また、手話の絵本がこんなにあることを初めて知ったので、色々と読ませていただき、ゆっくりとした時間を過ごせて良かったです。


22日、楽しませていただきました。
手話の絵本って色々とあるんだね~!小学校で読み聞かせのボランティアをしているから、その時に読んでもいいなぁ!って思ったよ。
絵本、ぜひ買わせていただきます!!
動画気になる( ^▽^ )
娘にQRコードを見せたら、笑ったり、手を振ったりしながら見てたよ!
手話、覚えたいから教えてください。

●●ちゃんのFacebookで見つけて山形からきました。
私は去年から少しずつ手話の勉強を始めています。
グーチョキパーとか1.2.3.4.5とかできる手話を探すのも面白いなぁと思いました。
私も探してみよう。
たくさんの人が手話を覚えて日本語英語手話が日常言語になれたらいいなと思います。私もまだまだですけどね。
手話の読み聞かせ、やりたい・・と夢見てます。

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皆さまからいただいたメッセージは今でも大切にしております。本当にありがとうございました。

個展での展示の様子

個展はイラストとQRコードを展示しました。一部ですがQRコードを通して観れるようになってます。

主に「しゅわろう1~3」のイラストや、絵本制作に関わったきっかけ等を展示しました。
自分の作品以外にも、インターネットや友人の紹介で集めたいくつかの手話絵本も展示しました。
また動画の一部を編集したQRコードを公開し、個展にお越しいただいた方々にも動画を楽しんでいただく取り組みもしました。

この時の動画はこちらです(YOUTUBEリンクです)
https://youtu.be/UD2crM4vcK4

写真は個展開催の様子です

個展ではワークショップもやった

個展では、「世界でたった一つだけの絵本」をコンセプトにしてみたかったのです。
私が思うに、子どもが一番好きなのは、「自分のママ・パパ」だと思うのです。
自分のママ・パパが出ている動画付き絵本って、子どもにとって最高の宝物になると思ったんです。

その意味でも、「世界でたった一つだけの絵本」といったオリジナリティーを皆さんで共有したい、という想いから、「特定非営利活動法人しゅわえもん」の後押しを受けてワークショップを立ち上げてみました。

親から子どもに引き継がれる絵本ができた

最初に参加者の皆さんで手話リズム(「しゅわろう2・3」)の練習を行いました。
本番ではそれぞれが披露した手話リズムをスタッフがスマートフォンで撮影し、簡単な動画編集を行ったうえで、QRコード化しました。
QRコード化したものはプリンター機で印刷し、「しゅわろう本」の最後のページに貼り付ける作業を皆さんでやりました。

QRコードを貼り付けた瞬間、「世界でたった一つだけの絵本」が出来上がったことに参加者の皆さん、大変、興奮気味でした(笑)
任意で取り組んだ20年後の子どもへのメッセージ作成も、真剣にメッセージを残すご家族がとても多かったのが印象的でした。

写真はワークショップ開催時の様子です

個展を通して感じたこと

皆さまの多くのサポート・ご厚意をいただきながら、ここまでやってこれました。
協力してくださった「特定非営利活動法人しゅわえもん」のメンバーの皆さまに感謝申し上げます。

まだまだ未定ですが、今後、絵本の創作活動は続けていきますので、折を見て何かの形でお見せできたらと思います。

絵本も良い、でも手話絵本も必要!

耳の聞こえない子ども
コーダ(聞こえない親から生まれた聞こえる子ども。実は聞こえない親から生まれる子の8割が聞こえる子なのです)
耳の聞こえない子どもが通っている保育園
幼稚園の先生や聞こえる友達
聞こえる子供達

と手話を覚えたいという方は沢山います。
手話絵本のニーズはあります。
今回の個展をきっかけに強くそう感じました。これを機に広めていけたらと思います。

皆さんに伝えたいこと

耳の聞こえない方々とのコミュニケーション手段はさまざまです。
筆談・身振り・口話・手話 等。

そして今回は「手話」をテーマに絵本を作ってみました。
手話を中心に使っている方々にとって、周りが、ちょっとでも使ってもらえるだけでも嬉しいのです。

もしも・・・、手話を主に使っている聞こえないこどもが

保育園・幼稚園に来たら…、

近所に引っ越してきたら…、

何かを話しかけてきたら…、

兄弟にいたら…、

と、こども同士でも手話を使うチャンスはたくさんあります。

そんなとき、さっと手話が出てこれるよう、この「しゅわろう絵本」を使ってコミュニケーションをより深めていってほしいと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。また、個展へ足を運んでくださった皆様ありがとうございました。
「しゅわろう絵本」が欲しい方、興味ある方は私までお気軽にご連絡くださいませ!

連絡先
kuriemon1013★gmail.com
(★⇒@に変えて送信お願いします)

インタビューしたスタッフから一言

くりえもんさんは、子育ての過程の中で自分の娘さんを見て「娘さんに合う絵本を作ってみたい」と思ったことがきっかけで、結果的に色々な人が手話に触れることができる絵本を作りました。
もちろんその中で色々なことがあったと思いますが、何よりも娘さんが喜ぶことを第一に考えてきたからこそ、こんなに素晴らしい絵本ができたのだと思います。
また、くりえもさんを取り巻く方々も色々とサポートしてくれたおかげもあると思います。
本当にみんなの気持ちが詰まった素晴らしい絵本、もっともっと多くの人にも見てもらいたいな、と思いました!

ABOUTこの記事をかいた人

きこえない人(聴覚障害者、ろう者、難聴者、中途失聴者)ときこえる人(健常者)の間の壁をなくしていく団体HAPUNEの代表。 インタビューを中心にマルシェなど様々なこともしています。