手話と筆談で活躍する美容師 風間意之さん

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今回のインタビューは、初!九州の福岡にあるBLUEDOGという美容室でスタイリストとして働いておられる風間意之さんです。
風間さんは生まれた時から耳が聞こえないため、筆談と手話を使ってスタイリストとして働いておられます。
彼に、なぜスタイリストになったのか、また、聞こえないスタイリストとして色々と考えていることなどをお聞きしました!

 

手話と筆談で活躍する美容師

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―はじめまして。
今回は、福岡の「BLUE DOG」という美容室でスタイリストとして働いておられる風間意之さんにインタビューです。
よろしくお願いいたします!

(風間)BLUE DOGの風間ともうします!よろしくお願いいたします!

―簡単なプロフィールをお願いします。

(風間)私は福岡で美容師をしており、現在8年目のスタイリストをしています。筆談&手話を使った美容師さんは珍しいかもしれませんね(笑)

風間さんが働いておられる店「BLUE DOG」
URL→http://bluedog.p2.weblife.me/index.html

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―確かに珍しいですね(笑)ちなみに、スタイリストというのは具体的にどのような仕事をしておられるのでしょうか?

(風間)まず、スタイリストというのは、美容界の言葉であり「お客様の髪を切れる」実力を持った美容師であることを示しています。
最初はアシスタントと言って、スタイリストをサポートする美容師がいます。
アシスタントはカットを覚える前にシャンプーや、カラーや、パーマのサポートの仕事が中心であり何年か経験を積んでいくと最終的にカットの練習を始めます。
そしてカットのトレーニングを修了すると、Jr.(ジュニア)スタイリストとなります。
Jr.スタイリストはカットデビューしたばかりの美容師であり、ある程度のお客様を担当できます。ですが、まだまだカットの昇格試験があるため、一年ほど再びカットのトレーニングをすることが多いです。
そのあと最終的にスタイリストとなると、お客様を担当していく数が増えていきます。
その上に担当お客様が多ければ多いほどトップスタイリストとなります。
さらにディレクター、マネージャーなど呼び名が変わるお店もあります。
そういう方々をスタイリストやトップスタイリストをまとめる役職ともいいます。
そういうことで、私は現時点ではスタイリストというわけです。
今はありがたいことに何人かのお客様を担当させていただいています。

 

すべては聞こえないお客様のために

―そうだったんですね。かなりの道のりがあったのですね。ではどうして美容師への道を決めたのですか?

(風間)元々髪のことには興味があったのと、聴こえない友達にコミュニケーション面でヘアサロンで楽しく過ごしてもらいたいなと思ったのがきっかけでした。私が美容師になれば手話でお話しできるし、髪を切って綺麗になる本当の感動を伝えたかったのです。

―いいですね!ではその感動を伝えられる美容師になるまでの道のりを教えてください。

(風間)私は新潟出身で、ろう学校は幼年期のみ通っていました。その後は普通学校に通学してました。
幸い両親が厳格で、言葉のトレーニングは幼い頃からしていたので読唇術や軽い筆談などを加えて生活してました。
そして高校在学中に地元の美容専門学校を受けたのですが、コミュニケーションの懸念があり、不合格通知をもらってしまいました。しかし、専門学校の教師からの「夢を諦めてほしくない」と言葉があり、教師から不合格通知の他に福岡高等ろう学校(当時の校名)の書類も送られたのです。それがきっかけで高校を卒業したあと、福岡高等ろう学校の美容科に入学することを決めました。
そこで、三年間学び国家資格である美容師免許を取得し…今のお店に入社して美容師になりました。
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―良い先生に出会えてよかったですね!では、今の店で働いて嬉しかったことは何でしょうか?

(風間)美容師として働ける。それこそがとてもありがたいことです。
美容師であることが私にとって大事なことです。
そして、聴こえないお客様が美容室で笑顔で会話が出来るという昔からの夢がひとつ叶ったことです。

―そうですよね!やっぱり、聞こえない美容師がいると会話もしやすいし、スタイリングなども手話で教えてもらったりもできるのでお客様も嬉しいと思います。
それでは、今の店での他のスタッフやお客様とのコミュニケーション方法はどんなふうにしているのでしょうか?

(風間)上記にもありますが、読唇術は出来てる方なので、スタッフ間では健常者と同じように口を読み取りながら会話をしています。
お客様に関しては筆談、また、スタッフに通訳してもらいながら仕事する形が多いです。
本来は通訳してもらうことはあり得ないことですので、ここまでサポートしてもらうことは嬉しいことです。
その分、私はお客様やスタッフやオーナーに対して感謝の気持ちを精一杯示すんだ!という心構えで仕事をしています。
もっともっとお店を大きくしよう!スタッフがもっともっと幸せになれるように!とサポートしてもらったぶん、こちらからも精一杯出来ることをするべき行動を忘れずにしています。
また聴こえないお客様も来ているので、オーナーを始めスタッフも手話を覚えたりしてコミュニケーションを積極的にとったりしています!
それだけでも、ありがたいですよね。私も恩返しできるように頑張らなきゃと思います。

 

信用を得るために実力をつけていきたい

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―理解のあるお店で素敵なスタッフたちに囲まれて働くことができて良かったですね!では逆に、美容師として、聞こえないことで大変だったことはありますか?その解決方法はどんなものですか?

(風間)美容師はサービス業なので、一番はコミュニケーションですね。
特に初めて会うお客様にはびっくりさせたり不安にさせたりするのが今でもあります。今はスタッフの協力で大丈夫なのですが…
自分がもし一人で仕事をするとなると、これはまた別問題ですし、これから私の永遠の課題とも言えます。
だからこそ、「客が客を呼ぶ」そんな美容師になるように実力を積む必要があると思います。あの人なら信用できる。そんな人間になるように努めようと。

―そうですよね、「この人にお願いしたい」と思っていただけるお客様が増えるよう私も応援していきたいと思います!
では、そんな風間さんが得意な髪型は何ですか?

(風間)女性の髪で得意なものはミディアムスタイルです。
もちろん、男性の髪も扱っています。意外とメンズのお客様の担当数はお店では多い方です!
男性の方もどんどん店にいらしてください。お待ちしております!
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将来の夢

―美容師として誇りをもって働いておられる風間さん、将来の夢は何ですか?やっぱり独立ですか?

(風間)もちろん、お店を持つこと…ですね。今から準備段階に入ってます!
でも理想は南の島に移住して海の近くでサーフィンやりながら、仕事みたいなのがいいですね(笑)

 

美容師になりたい方々へ

―いいですねー(笑)
それでは、風間さん、同じように聞こえない方々で美容師になりたい!と言っている方々に向けて伝えたいことは?

(風間)そうですね・・・正直言っておすすめしません。(笑)
健常者ですら、10人に9人は辞めてしまうほど、大変な職業です。 そのなかで一流の美容師を目指して頑張る人は三つの共通点があります。

1つは、純粋に人をきれいにしてあげたいという気持ちを常に持ち続けることです。

2つ目は好奇心。美は無限で、終わりが見えない。だからこそ、追いかけ続けられる姿勢があること。

3つ目はやっぱり、夢。どんなに苦しいことも辛いことも楽しいことだと思えるようになれば、美容師として幸せに仕事が出来るでしょう。

・・・・でも、美容師として働けるようになれば… きっと人生楽しくなりますよ!

 

プロとして働くということ

―ありがとうございました!
最後に、社会の中で働く聞こえない方々に向けてメッセージをお願いします。

(風間)どんな仕事であっても、お金を頂くということは、プロであるということです。
自分はプロであるという気持ちをずっと持つことが最低条件ではないのでしょうか。
聞こえなくてもプロとしての仕事ぶりを見せることが周りからの信頼を得ることに繋がります。
聴こえない人が楽しく仕事をするためには周りの協力が必要不可欠です。
そのためには、協力してもらえるように自分の仕事に対する考えや姿勢を示すことが一番大事だと思います。
聴こえない人でも聞こえる人でもお互いにどう接していけば分からないことは必ずしもどこかであります。
でもお金を頂く以上、信用してもらえるような環境作りをしてみてください。
信用してもらえたら、更に質の高い仕事を見せるような努力を重ねていく、それこそプロというものです。

―聞こえない人が聞こえる人とともに働くということは、まず自分の仕事をきちんとすること。そして周りからの信用を得る、これを積み重ねていければきっと職場環境もよくなるかもしれませんね。

風間さん、今回は忙しい中色々とお話ししていただいてありがとうございました!
これからも美容師として頑張っていってください。いつか独立するのを楽しみにしています。

ABOUTこの記事をかいた人

きこえない人(聴覚障害者、ろう者、難聴者、中途失聴者)ときこえる人(健常者)の間の壁をなくしていく団体HAPUNEの代表。 インタビューを中心にマルシェなど様々なこともしています。